フィリピン、同性愛者に対する反差別法を承認

by 井出

 
 

 1月末、フィリピンの下院は LGBT(レズビアン/ゲイ/バイセクシャル/トランスジェンダー)の人々に対する差別=性的指向および性自認に基づく差別を禁止する法案を承認した。

 その法案は、アクバヤン党のロレッタ・アン・ロサレス氏によって議会に提出された。The Lesbian and Gay Advocacy Network Philippines(フィリピン・レズビアンとゲイ擁護ネットワーク)によると、そのような LGBTのコミュニティに対する差別を全面的に禁止する法案はフィリピンでは初めてだという。

 その法案によると、職場、教育、公共医療、公務(軍隊を含む)、コマーシャル、医療施設などでの LGBTの人々に対する差別が禁止され、また警察や軍隊からの差別も禁止される。

 その法案はLesbian and Gay Legislative Advocacy Network(LAGABLAB:ラガブラブ)によって作成された。作成にあたっては、フィリピンの LGBTの人々と数多くの協議を重ねたという。ラガブラブ、Amnesty International-Philippine(アムネスティー・インターナショナル・フィリピン)、 International Gay & Lesbian Human Rights Commission (IGLHRC:国際ゲイ・レズビアン人権委員会)やその他の団体が、その法案の可決を求めて、「差別撤廃キャンペーン」という試みを行っていた。

 「残念な事に、今でもなお、フィリピン国内では LGBTの人々に対する差別が一般的に行われている」と LAGABLABのジョーナス・バガス氏は述べた。バガス氏の話によると、数多くの学校で、性的指向が男性に向くのではないかと疑われる男子生徒に対して、“男らしさのテスト”というテストがあるという。もしその“テスト”を受けた生徒が合格した場合、誓約書を書かされ、その誓約書には、今後一切男子生徒と交流を持たない、女性のようにメークアップをしない、女装をしてはならないといったようなこと
が書かれている。

 また、政府の地域オフィスに勤めている同性愛の従業員が、性的指向を理由に嫌がらせを受け、解雇に追い込まれたというケースがあった。その従業員はその解雇は不当だという訴えを裁判所におこす事を考えたが、周りのサポートが全くなく、裁判をおこす気力がなくなったので、裁判はおこさなかったという。

 その法案が有効になるためには、フィリピン議会の認可と現職大統領の同意が必要である。今年5月の選挙で議会の賛成が求められ、6月30日の大統領選の勝利宣言の前までに現職の大統領の同意が必要だ。

翻訳&記事の解説:井出
(井出:神奈川県在住/翻訳スタッフ)

 

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