アメリカ女子プロゴルファーがカミングアウト
企業とのスポンサー契約を実現

by 斎藤

 日曜版のニューヨークタイムス紙(3月21日付)に自らが執筆した記事の中で、LPGA(全米女子プロゴルフ協会)で上位にランクされているプロゴルファー、ロージー・ジョーンズ選手(44歳)は、レズビアン/ゲイのための旅行会社である「オリビア」とのスポンサー契約を発表しただけではなく、公的にレズビアンであることを認める数少ないプロスポーツ界のエリート選手の一人にもなった。まさに、同性愛者の人権に対するホール・イン・ワンである。

 ジョーンズ選手は、記事の中で、現在の政治的状況でカミングアウトすることが、自分の意図しない方向も含めて、いろいろな影響を与えることになることをふまえた上で、あえて「私は、ゲイとレズビアンの市民権に強い関心を持ち、投票もするし、自分なりの信念もある」と述べている。

 ジョーンズ選手はまた、レズビアンであると自覚してから25年、自分がレズビアンであるという事実に不安はなかった、その間、個人的にはかなりの人に話したが、今まで公的にカミングアウトする必要を感じていなかった、「まず第一に、自分は活動家ではなく、誇るに足る、恵まれたLPGAのメンバーであり、また、プロのスポーツマンである」から、と書いている。カミングアウトを決めた時、LPGAが支えになってくれたのも、多くのLPGAのメンバーに語って来たことが大きいと言う。

 さらに、「私の前に、何人ものスポーツ選手がカミングアウトしているおかげで、だいぶ人々がなじんでくれていると思う。私のファンも、私を、今までと同じ、競争心が強くひたむきなロージーだと思ってくれて、私が人々の多様性を尊重するように、私の人生のこの新しい面を尊重してくれる、と楽観的に考えている」とジョーンズ選手は続ける。そして、「私は同性愛者、オッケー、さあ、ゴルフをしに行きましょう!」と結んでいる。

 ジョーンズ選手は、22年間のゴルフ人生において、これまで13のLPGAのタイトルを獲得し、700万ドルを越える賞金を手にしている。

 LG企業がプロスポーツ選手のスポンサーとなったのは今回が初めてで、それはコマーシャル契約料の額にも表れている。

 契約金の詳細については明らかにされなかったが、ジョーンズ選手は「オリビア」の新たな販売促進キャンペーンにおける中心的な役割を担うことになるだろう。カリフォルニアのランチョミラージュで3月25日〜28日に行われるクラフト・ナビスコ選手権(以前のダイナ・ショア・オープン)以降のツアーで、彼女は会社のロゴマークをつける。ジョーンズ選手は広告にも登場し、一選手としての顔を広め、そして、「オリビア」主催の旅行やイベントの中から特に選ばれたものにおいて、ホスト役を努めることにもなるだろう。

 ジョーンズ選手のその他のスポンサーとなっているのは、「タイタリスト」「エコーシューズ」である。

 「オリビア」の社長であり、創設者でもあるジュディ・ドゥルガッグズは次のように話している。「これがビジネスライクな提案であることは明らかですが、今回の契約を通じて、ジョーンズ選手はプロスポーツ界でまれなことをしているのです。つまり、尊厳を持ち、自分自身の言葉と意志でカミングアウトしているということです」。

 トロントを拠点とするGLPAA(ゲイ・レズビアン・プロアスリート協会)の評議員であるブライアン・オスラーは、こう話している。「注目を集め、チームプレーをする団体スポーツに身を置くアスリートにとって、ゲイやレズビアンであることを公にカミングアウトするのは難しいことです。オリンピックに出場経験のある飛び込み(水泳)選手グレッグ・ローガニスや、アメフトのスター選手デイビット・コーペイのように、引退後にカミングアウトする人もいます。有名なテニスプレーヤーのビリー・ジーン・キング(当初は「キング夫人」と呼ばれた〜1966年から1975年の間にウインブルドン女子シングルス6回優勝)は、慰謝料請求訴訟といった法的な争いの結果、アウティング(※)された例の典型です。でも、ジョーンズ選手は、まだ落ち着ける余裕が持てるでしょう。というのは、非常に脚光を浴びる種目でプレーしていますが、ゴルフは個人種目なので、今後もプレーを続けていきやすいからです」。
(※)注;アウティング→同性愛者であることを本人の意志ではなく、明らかにされてしまうこと

 ジョーンズ選手と「オリビア」の発表に対する反応はこれまで肯定的だ。「ゴルフダイジェスト」の記事やESPN(アメリカのスポーツ専門ケーブルテレビ局)で流れたLPGAのコメントには、彼女が公表したことを支持する表現があふれている。

 「オリビア」のドゥルガッグズ社長はこう話す。「メディアにカミングアウトすることで、その人の人生は変わると思います。しかし私たちは、そうすることで、スポーツ界のゲイ/レズビアンの選手たちに対する見方にも、非常に大きなよい波及効果がある、ということも確信しています」。

翻訳&記事の解説:斎藤
(斎藤:群馬県在住/翻訳スタッフ)

 

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