米オレゴン州マルトノーマ郡で行われてきた
同性カップルへの結婚許可書発行に一時停止命令
しかしその内容は“迷走”

 4月20日、米国オレゴン州マルトノーマ郡当局に対し、巡回裁判所判事フランク・ビアーデンは、同性カップルへの結婚許可書の発行を一時停止するよう命じた。停止期間は、州議会または最高裁またはその両者の決定が出るまで、である。16日に意見聴取(聴聞会)を行ってから4日目というスピード判決だった。

 また、3月3日から発行された3,000を越える同性カップルに対する結婚許可書に基づいて、その結婚は、オレゴン州によって登録および記録されなければならないとも決定した。

 さらにビアーデン判事は、州議会に対し、次の議会開会後90日以内に、この件に対応した行動を起こすことを命じた。その内容に関しても、「同性カップルは、異性カップルと同じ利益を受けるに値する」と明言した上で、その同等性を達成する方法として、バーモント州で行われているシビルユニオン制度を設立するよう強く提言している。そしてそれは、州憲法に全く違反しないとも述べている。

 もし州議会が、この条件をクリアできない場合、同性カップルへの結婚許可書発行を再開してもよい、とされている。この判決は、マサチューセッツ州最高裁の判例を参考にしているとのこと。

 この判決は、同性カップルへの結婚許可書発行を一時停止させつつ、今まで発行したものは有効とする、そしてシビルユニオン制度を勧める、という複合的なもので、周辺に混乱を呼んでおり、ニュースの見出しも力点を置く場所によって、正反対に見えるものすらある。同性婚の関係者なら誰でも何か一言言いたくなる判決だ、と評する人もいる。

 実際、同性カップルと異性カップルがオレゴン法の下で平等に扱われるという点を評価するLG団体もあれば、シビルユニオンで、というのは妥協案にすぎず、不十分だとするLGおよびその支持団体も少なくない。後者の立場は、シビルユニオンでは、扱いが「二流」になってしまう、特に連邦(国)が結婚に対して保障する権利が含まれなくなるし、社会的地位も「二流」にとどまる、と批判するものだ。同性婚反対派は、同性カップルに権利保障を認めたことに対して、今まで黙認してきたことと並んで疑問を呈している。

 州議会側は、6月に財政問題を論じる臨時議会があるが、そこで取り上げるのには消極的な議員が多い。大統領選挙の年でもあるし、議論し出したら長期にわたることが予想されるし、賛成派からも反対派からも「早すぎて準備できない」という声がある。「2005年1月の定例議会で」という案も出ている。90日という期限の中で事態は大きく流動しそうだ。

 この裁判自体は、上訴裁判所に進むことになるのが確実で、控訴裁判所(必ず当事者への直接の聴聞がある)を通すか、一気に最高裁が判断するか(当事者への直接の聴聞をするかしないかは最高問いの判断)、今後の展開はまだ裁判所で協議中である。

▼これまでの経緯
3月3日 オレゴン州マルトノーマ郡(中心都市ポートランドを含む行政単位)が同性カップルに結婚許可書の発行を開始(→詳細はこちらから
3月8日 保守派から、緊急停止命令を求める訴えが出されたが、マルトノーマ郡のデール・コッチ判事は、却下し、結婚許可書の発行は続いた(→詳細はこちらから
3月15日 改めて、マルトノーマ郡で結婚許可書の発行の継続を確認(→詳細はこちらから
3月17日 マルトノーマ郡に続いてベントン郡も同性カップルへの結婚許可書発行(→詳細はこちらから
3月22日 ベントン郡は、法廷が決定するまで、同性カップルへの結婚許可書の発行開始を延期する、と発表。さらに、異性カップルへの結婚許可書の発行も一時停止する。(→詳細はこちらから
4月1日 さらに、マルトノーマ郡で結婚許可書の発行の継続を確認(→詳細はこちらから


訳&記事の解説:伊藤

 

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