米ブッシュ大統領、同性婚に反対する意志を再表明

 ブッシュ大統領は、17日、マサチューセッツ州で同性カップルへの結婚許可書の発行が始まったのを受けて、同性婚を禁止するための連邦憲法改正(FMA)を支持することを再表明した。大統領の声明は、カンサス州トペカで行われる、米国の公民権上最も重要な判決のひとつが50周年を迎えることを記念する式典へ向かう途中で出された。

 ブッシュ大統領の報道官、スコット・マクレランは、大統領からの声明として、「結婚という神聖な制度は、数名の“活動家”裁判官によって、定義し直されるべきではない。連邦憲法の改正は、緊急の度を増している。私は、今日、改めてその進行を要請する」。

 GLBT人権グループからは、すばやい反応があった。

 「結婚する自由のためのプロジェクト」代表のエヴァン・ウォルフソンは、「私たちが分裂ではなく、結束しなければいけない時に、合衆国大統領が、国民に対して憲法の土台をむしばんでいくことを促進しているのを見るなんて、ぞっとします」と語った。

 「人権キャンペーン」代表チェリル・ジャックも、「大統領は、この国を差別に導こうとしている。私たちは、彼に私たちの家族を傷つけるようなまねはさせない」と言った。

 「全米ゲイ・レズビアン・タスクフォース」代表のマット・フォアマンは、「大統領は、おそろしい偽善者だ。彼が“活動家”と呼ぶ裁判官たちが、彼を大統領に選んだ時には、何の文句もつけず、同じ裁判官たちが、マサチューセッツ州で憲法の厳密な適用を課すと、彼は憲法に差別を書き込むことを望む」。

 「ラムダ・リーガル」代表のケビン・カスカートは、「この大統領は、高校の公民科を学び直す必要がある。法廷の仕事を非難するのは、不誠実で無責任だ。マサチューセッツで起こったことは、法廷が、全ての人に憲法上の権利が保障されていることを確認するという当然のことをしただけのことだ」という声明を出した。50年前の判決の敵対者といっしょなのに、昔のことは評価していることの矛盾も指摘した(マーブル氏のコメントを参照↓)。「50年前止められなかった流れは、今でも止められない」。

 「ナショナル・ストーンウォール・デモクラッツ」(民主党の同性愛者団体)のジョン・マーブルは、黒人と白人で分けられていた学校が統合されるきっかけとなった「ブラウン対トペカ教育委員会」判決[注]50周年を祝うスピーチのほんの数時間前に、スコット・マクレラン報道官が同性婚についてコメントしたのは、皮肉なことだ、と指摘する。この5月17日は、アメリカで最初に同性カップルが法的に結婚できるようになった日であるばかりではなく、「ブラウン対トペカ教育委員会」判決50周年の記念日でもあったのだから。ジョン・マーブルは、次のように述べた。
 「私は、『ブラウン対トペカ教育委員会』判決50周年に関するブッシュ大統領の演説は、傑出した議論(例えば、『全てのアメリカ人の権利を拡大するために、優勢な意見にあえて抗して判決を出した』)で、そこからは、同性婚も市民権として認められるべきだということが導き出されるはずだ、と思う。同じ日に、一方では、裁判官の勇気ある行動を賞賛し(50周年)、もう一方では裁判官の活動を非難するなんてどういうことだ」。

 [注]カンサス州トペカで、オリバー・ブラウンが起こした裁判の判決。白人の子どもたちが7区画先の白人専用学校に通えるのに対し、彼の娘で7歳のリンダ・ブラウンは、危険の多い道を6区画通ってバス停に行き、約1時間20分かけて黒人用に隔離された学校に通わねばならなかった。オリバー・ブラウンは、白人の学校への転校を申し出て拒否されたことから、この不合理を裁判で争ったのだ。1954年5月17日、米最高裁判所の最高裁判所長官アール・ウォレンは、「分離された教育機関は生来に不平等である」とこうした学校の分離が憲法違反である、という判決を下した。

 「ログ・キャビン・リパブリカンズ」(共和党の同性愛者団体)も、ブッシュの声明は、同性婚に関する議論を促進するどころか、つぶしてしまう、と反応した。スポークスマンのクリストファー・バロンは「この国の人々は、この件に関して意見を言いたがっている。それなのに、いきなり憲法改正では、マサチューセッツで、そしてこの国じゅうで、達成されつつある議論の過程を一気にショートさせてはしょることになる」と語った。

 「ログ・キャビン・リパブリカンズ」は、もともと同性婚禁止のための憲法改正には反対しているが、ブッシュの意見に左右されず一貫して、そのポリシーを宣伝し続けている。先週から、コロラド州とアリゾナ州でも、憲法改正反対のテレビ広告を放送し始めている。クリストファー・バロンは、さらに次のように述べた。
 「マサチューセッツ州における同性婚の始まりは、歴史的な大事件だが、伝統的な結婚を支持する人たちが事前に予想していたほどの大事件ではなかった。空は落ちてこなかったのだ。結婚は、何もおびやかされなかった。宗教団体も、何も強制されなかった。超保守的な人たちが大げさに言っていたことは、空っぽで意味がないとわかった」。

「人権キャンペーン」のトップページで、マサチューセッツ州で結婚したカップルの写真がたくさん見られます!


訳&記事の解説:伊藤

 

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